AIモデルを継続的に運用する仕組み(MLOps)
AIモデルの継続的進化と効率的な運用の実現
AIモデルは、データや環境の変化に伴い精度が低下する可能性があります。このようなモデルの「劣化」を防ぐためには、継続的な監視、学習、運用が欠かせません。しかし、実際の運用においては、AIモデルを適切に管理し続けることは多くの課題を伴います。
本研究では、このような課題に対応するため、太陽光パネルの運用に基づいたMLOpsの仕組みを開発しました。この仕組みでは、太陽光パネル設置サイトの急増を見据え、効率的かつ柔軟な学習プロセスを構築しています。さらに、運用中に発生するデータの変化にも適応し、AIモデルを進化させ続ける仕組みを実現しました。これにより、AIモデルの長期的な高精度運用が可能となります。
太陽光パネルは、設置環境やパネル自体の種類が多岐にわたるため、1つのAIモデルですべてのケースに対応することは困難です。特に、新たな設置サイトの追加に伴い、モデルの複雑性が増加し、全体のパフォーマンスが低下するリスクがあります。
この課題に対して、私たちは以下の2つのAIモデルを活用した柔軟なアプローチを開発しました:
・グローバルモデル
すべての設置サイトからのデータを統合し、広範な種類の太陽光パネルに対応可能な汎用モデルです。グローバルモデルは継続的に学習を行い、新しいデータを反映させながら進化を続けます。
・サイトモデル
グローバルモデルを基盤として、新たに追加された特定の設置サイトの条件に特化したモデルを迅速に作成します。これにより、新規サイトでの運用開始時に、一からモデルを学習する手間を削減できます。さらに、サイトモデルを活用することで、特化した性能の向上が期待できます。
この二層構造により、すべてのサイトに対応可能な汎用性と、特定サイトでの高精度運用の両立を実現しています。
また、新しい太陽光パネル設置サイトが増加するたびに、そのサイトで収集された新しいデータがグローバルモデルに統合されます。このプロセスにより、グローバルモデルは継続的に強化され、次の新規サイトへの対応力が向上します。
この仕組みは、以下のようなメリットを提供します:
・迅速なモデル展開:新しい設置サイトでの運用準備が大幅に短縮されます。
・効率的な学習プロセス:同じデータを重複して処理する必要がなくなり、リソースを節約できます。
・運用規模の拡大:設置サイトの増加に比例して、全体の運用効率とモデル性能が向上します。
本技術は、特に太陽光パネルの導入・運用コストを削減し、再生可能エネルギーの普及を加速させる点で大きな意義を持っています。効率的なモデル管理と高精度な運用により、電力供給の安定化や持続可能なエネルギー活用への貢献が期待されます。
ソーラーパネル検査用学習モデル作成方法


当社は、このMLOpsに基づく継続的学習・運用のアルゴリズムと応用方法を特許で保護し、技術競争力を確保しています。
特許番号:特開2024-152316
ソーラーパネル検査用学習モデル作成方法、ソーラーパネル検査方法、ソーラーパネル検査用学習モデル作成装置およびソーラーパネル検査装置